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〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

連続小説ドライバー22 第三章「無題 ある絵描きの死」第四話

 

こんにちは、チャバティ64です。

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

 

よろしくお願いします。

 

今日も連続小説ドライバー?第三章 第四話をお届けします。

遠い国の回想シーンはちょっと描いていて新鮮です。

秋田さん、豊田さんに怒られないよう頑張ります。

それではお楽しみ下さい。

 

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(「芽なんてどこにでるかわからない」

 「花もどこに咲くかわからない」

 「生きてさえいればそんな時も訪れる」)

 

連続小説ドライバー3 「無題(ある絵描きの死)」

昔話は本当の話の連続小説 第四話

 

(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙に濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

しかし、もう後戻りできない「夢中になってしまった」のだ。

 

彼は、もとの絵描きに戻ってしまった。

彼が夢中になった「描きたかった絵」が完成した。

それでも彼女は「ステキな絵ね」と褒めてくれた。

しかし、ミュンヒルは「こんなものはいらない」と言い、買ってくれなかった。

 

そのあとも、彼は「さくらの絵」を描こうとしなかった。

それは自分が描きたい絵ではなくなってしまったからだ。

それからは彼女ともケンカが増え、二人は別れた。

 

彼女は出て行った。

一枚の絵を持って...。

 

残された「絵たち」は、すべて「無題」だった。

あんなに描きたい絵だったのに、題名さえ、もらえなかった可哀そうな絵。

ミュンヒルに「ただ同然」で持って行ってもらった。

 

そして、彼もフランスをあとにした。

 

自分の描きたい絵も分からず、褒めてくれる人も、もういない。

そんな彼が、たどりついたのは、やはり日本だった。

 

彼は失意の中、木造アパートの1階を借りた。

また、夢中で絵を描き始めたのだ。

絵さえ描いていればすべて忘れられる。

そうするしかなかった。

 

ひと月後、一枚の絵が出来た。

それは「誰もが目を背けるような、人のあさましい本性の絵」だった。

 

バンビーノがいたら「ステキね」と、笑ってくれるだろう。

彼女だけが自分の絵を理解し、愛してくれたことが支えだったのに... 

自分の愚かさを嘆いた。

 

しかし、彼にはどうすることも出来なかった。

近しい人は離れ、売れる絵も描けない。

褒めてくれる人は、もういない。

描き続ける理由すら見当たらなくなってしまった。

 

しかし、彼は絵を描くことしか出来なかった。

やはり絵が好きだったのだ。

 

そして、10年の時が過ぎた。

彼はカラダを壊し、伏せがちになったが、今も木造アパートの1階で絵を描き続けていた。

 

春になり、気持ちのいい季節になった。

 

干してあった洗濯物に「さくらの花びら」が、はりついていた。

となりの公園のハダカだった木が、いつのまにか「さくら」になっていた。

とてもきれいな花を、たくさんつけた「さくら」は、今までの記憶を呼び戻した。

 

今日は不思議と「セキ」も出なかった。

公園にイーゼルを立て、久しぶりに「さくらの花びらが風に舞う風景」を描いた。

自分でも驚いたが、外で描くのはこれが初めてだった。

過去に描いた時のように空想の風景ではなく、本物を間近で見ながら描く「さくら」は生きる力に溢れているようだった。

彼はまた夢中で描いていた。

 

すると、その絵を後で眺めていた背の高い初老の外国人が近寄ってくるなり「その絵を売ってくれないか?」と尋ねてきた。

 

 今日のお話はここまでです。

このお話は明日に続きます。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

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