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〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

連続小説ドライバー21 第三章「無題 ある絵描きの死」第三話

こんにちは、チャバティ64です。

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

 

よろしくお願いします。

今日もドライバーシリーズ第三章 第三話です。

ごゆっくりお楽しみ下さい。

 

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(死ぬまでに100回は見られないから毎年愛でる意義がある おふくろ談)

 

連続小説ドライバー3 「無題(ある絵描きの死)」

昔話は本当の話の連続小説 第三話

 

(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙に濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

「わかったよ、ミュンヒルありがとう!」

 

彼は上機嫌だった。

「久しぶりに二人で食事に行けるぞ」

「1500フランあれば、青いスカートも買ってあげられる」

 

明後日はバンビーノの誕生日だった。

翌日、精一杯のおめかしをして二人で食事に出かけた。

しかし、お金が足りなくて「青いスカート」は買えなかった。

 

「バンビーノ、ごめん、プレゼントをあげられないよ」

彼は下を向き、首を横に振った。

 

バンビーノは言った。

「そうね、罰として『さくらの絵』を私にも一枚描いてほしいな」

「お部屋に飾るの」

「そうしたら、いつも春よ」

「一年中、気持ちのいい季節だわ!」

「私、あなたの絵が大好きなの!」

「私のためだけに描いて!」

 

彼は、照れ臭かったが「次の一枚」が、出来たらあげることを約束した。

バンビーノは「どんなプレゼントよりもうれしい!」と言って抱きしめてくれた。

 

「もっといい絵を描くぞ!」

彼は出来上がった、小さな目の額に入った「さくらの絵」を見ながら心に誓った。

 

お金はないが、彼はとても幸せだった。

そんな彼のことが、彼女は大好きだった。

 

それから、絵描きは「さくらの絵」を描いた。

なぜかって?

それはミュンヒルが高く買ってくれるからだ。

 

来る日も来る日も、

「さくらの花びらが風に舞う風景」を描いた。

「街に」「山に」「海に」風に舞う花びらはどれも美しかった。

絵描きは、彼女にもミュンヒルにも褒められる存在となった。

 

「バンビーノ、今日は3,000フランで売れたよ」

「今月は3枚売れたから、チキンとバケットを買いに行こうよ!」

彼は、彼女と手をつなぎ夕暮れの街へ出かけた。

バンビーノの「青いスカート」が風にゆれていた。

気付けば、普通の暮らしが出来るようになっていた。

 

彼女は、彼に「私が信じていたことは正しかったわ」と嬉しそうに言った。

 

それから、彼はまた描き続けた。

来る日も来る日も、描き続けた。

 

しかし、彼は知っていた。

「お金のために描いていることに...」

「夢中になって描いていないことに...」

 

ある日、彼は「さくらの絵」を描いている合間に、自分が描きたい絵を描こうと思った。

イーゼルを前後に置き、前は「さくらの絵」後は「描きたい絵」を描いた。

 

だんだん「描きたい絵」を描く時間が増えていった。

ミュンヒルに「さくらの絵は、まだ出来ないのか?」と催促を受けた。

 

しかし、もう後戻りできない「夢中になってしまった」のだ。

彼は、もとの絵描きに戻ってしまった。

 

今日のお話はここまでです。

このお話は明日に続きます。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

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