スピンオフな連続小説ドライバー? 第三章「無題(ある絵描きの死)」第四話「再会(ロンシャン)」
こんにちは、チャバティ64です。
女性に人気があるということで有機栽培のルイボスティーを仕入れました。
抗酸化作用など、なんかいいらしいです(笑)
得意の街に出て、女性にナンリサーチを掛けました。
「美容や健康志向で何の成分に興味がありますか?」
圧倒的多数で「コラーゲン」と「乳酸菌」でした。
それで、コラーゲンと乳酸菌を入れティーバッグに詰めました。
どんなお味かは一度お試しいただけれは嬉しいです。
仕事はいい香りのするお茶の販売員をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
さて、本日も連続小説・第四話です。
突然現れた外国人は誰なんでしょう?
数奇な運命に導かれ「さくらの絵」はやがて…
スピンオフな連続小説
第三章ドライバー?「無題(ある絵描きの死)」
第四話「再会(ロンシャン)」
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
そして、10年の時が過ぎた。
彼はカラダを壊し、伏せがちになったが、今も木造アパートの1階で絵を描き続けていた。
春になり、気持ちのいい季節になった。
干してあった洗濯物に「花びら」が、はりついていた。
となりの公園のハダカだった木が、いつのまにか「さくら」になっていた。
とてもきれいな花を、たくさんつけた「さくら」は、今までの記憶を呼び戻した。
今日は不思議と「セキ」も出なかった。
公園にイーゼルを立て、久しぶりに「さくらの花びらが風に舞う風景」を描いた。
自分でも驚いたが、外で描くのはこれが初めてだった。
過去に描いた時のように空想の風景ではなく、本物を間近で見ながら描く「さくら」は生きる力に溢れているようだった。
彼はまた夢中で描いていた。
すると、その絵をうしろから眺めていた背の高い初老の外国人が近寄ってくるなり「その絵を売ってくれないか?」と尋ねてきた。
また「素晴らしい絵だ、ずっと日本の店にも『さくらの絵』を飾りたいと思っていたんだ」と流暢な日本語で言った。
聞けば、フランス料理のシェフで、世界十数か国に自分の店があり、どの店にも「さくらの絵」が飾ってあるそうだ。
今回、日本のお店がオープンしたため、わざわざフランスの店から「絵を外して持ってきた」と言っていた。
「フランスの店で、さくらの絵がなくて、売り上げが下がるんじゃないかと心配しているんだ」と、冗談まじりに言っていた。
絵描きは「まだ描きかけだから」と断ると「何日でも待つから譲ってほしい」と言われ、背広の内ポケットから名刺を取り出し、手に渡された。
その名刺を見ると、外国人の名は「ジュエル・ロンシャン」若干26歳でミシュリンのスターを獲得し、5年前に突然引退した伝説のフレンチシェフ、その人であった。
絵描きは、そんなことを知る由もないが、フランスにいたときに、一度だけ「バンビーノ」と、一緒に行ったことがあった高級レストラン「ロンシャン」だったことはわかった。
プレゼント代が残らなかった「あの店」だ。
まさか、日本に帰ってきて思い出の「ロンシャン」のオーナーに会うなんて思いもしなかった。
彼は、この出会いは奇跡だと思った。
「ロンシャンさんは、さくらがお好きなんですね」
絵描きは言った。
「違うんだよ、さくらの絵が好きなんだよ」
「部屋に飾っておけば、いつも春さ!」
「店が気持ちのいい季節のままだろ?」
そういうと絵を見ながら微笑んだ。
絵描きはどこかで聞いたことがあると首をかしげた。
「キミの名前は?」
「マサムネです」絵描きは、そう答えた。
「そうかマサムネか、いい名前だ」
ロンシャンは嬉しそうに笑った。
「キミの絵は『ミュンヒル・ロータリー』の作品に似てるんだよ」
「キミは知らないかい?」
絵描きは友達だった「ミュンヒル」を思い出した。
彼は親の代から続く画商だが、自らも絵を描いていることは知っていた。
しかし、彼の名字は「レシプロス」だし、ありふれた名前だったため「知らない」と答えた。
「ボクは彼の大ファンでね」
「取材を一切うけない幻の画家で、10年ほど前に突然引退してしまったんだ」
「インスピレーションがわかなくなったといって」
「さくらが代名詞だったが、引退前に発表した数点の作品は画風が変わり、鬼気迫るものがあって、素晴らしいものばかりだよ」
「どれも、高くて簡単には買えないがね」
「本当に残念だよ」
「まぁ、ボクも引退後のファンなんだがね」
「ボクは、ちょうどその頃に風邪をこじらして3日だけ街の病院に入院したことがあってね」
「そのときに知り合った看護師が、ボクのことを知ると『どうしてもお店に飾ってほしい絵がある』と言って翌日持ってきたんだ」
「看護師?どんな感じの人でしたか?」
絵描きは聞いた。
「色の黒い、すごくヤセた金髪の妊婦さんだったよ」
ロンシャンは難しそうな顔で答えた。
絵描きは、唯一の友人だった「ミュンヒル」という名前には無反応だったくせに、看護師と聞いて「バンビーノ」を思い出し、思わず聞いてしまった自分が恥ずかしくなった。
しかも彼は、今を支えているのは「バンビーノ」との思い出だけだということが、自分でも痛いほどわかっていたのだった。
今日のお話はここまでです。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。