生きてて良かった!- 茶 葉 tea’s -

〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

スピンオフな連続小説ドライバー? 第三章「無題(ある絵描きの死)」第三話「別れ(スカート)」

こんにちは、チャバティ64です。

 

先日、蒲田でお茶の催事販売を行わせていただきました。

とても反応が良く、ご年配のお姉さま方に可愛がっていただきました。

あなたの街にも必ず伺います。

その時は石など投げないで下さい(笑)

 

仕事はいい香りのするお茶の販売員をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

よろしくお願いします。

 

さて、本日も連続小説、第三話です。

「さくらの花びらが舞う風景」を書き、お金を手にした彼は、ひとつの壁にぶつかります。

全てが無に帰す事も恐れずに…。

彼の行動は、やはり理解できません。

 

 

f:id:tyabatea:20181105230420j:plain 

スピンオフな連続小説 

第三章ドライバー?「無題(ある絵描きの死)」

第三話「別れ(スカート)」

 

(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙に濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

絵描きは、彼女にもミュンヒルにも褒められる存在となった。

 

「バンビーノ、今日は3,000フランで売れたよ」

「今月は3枚売れたから、チキンとバケットを買いに行こうよ!」

 

彼は、彼女と手をつなぎ夕暮れの街へ出かけた。

バンビーノの「青いスカート」が風にゆれていた。

気付けば、普通の暮らしが出来るようになっていた。

 

彼女は、彼に「私が信じていたことは正しかったわ」と嬉しそうに言った。

 

それから、彼はまた描き続けた。

来る日も来る日も、描き続けた。

 

しかし、彼は知っていた。

「お金のために描いていることに...」

「夢中になって描いていないことに...」

 

ある日、彼は「さくらの絵」を描いている合間に、自分が描きたい絵を描こうと思った。

イーゼルを前後に置き、前は「さくらの絵」後は「描きたい絵」を描いた。

 

だんだん「描きたい絵」を描く時間が増えていった。

ミュンヒルに「さくらの絵は、まだ出来ないのか?」と催促を受けた。

 

しかし、もう後戻りできない【夢中になってしまった】のだ。

彼は、もとの絵描きに戻ってしまった。

 

彼が夢中になった「描きたかった絵」が完成した。

それでも彼女は「ステキな絵ね」と褒めてくれた。

しかし、ミュンヒルは「こんなものはいらない」と言い、買ってくれなかった。

 

そのあとも、彼は「さくらの絵」を描こうとしなかった。

それは自分が描きたい絵ではなくなってしまったからだ。

それからは何もかもがうまくいかなくなった。

次第に彼女ともケンカが増え、二人は別れることになった。

 

彼女は出て行った。

一枚の絵を持って...。

 

残された「絵たち」は、すべて「無題」だった。

あんなに描きたい絵だったのに、題名さえつけてもらえなかった可哀そうな絵。

ミュンヒルに頼み込み「ただ同然」で引き取ってもらった。

 

そして、彼もフランスをあとにした。

 

自分の描きたい絵も分からず、褒めてくれる人も、もういない。

そんな彼が、たどりついたのは、やはり故郷である日本だった。

 

彼は失意の中、木造アパートの1階を借りた。

また、絵を描き始めたのだ。

絵さえ描いていればすべて忘れられる。

そうするしかなかった。

 

ひと月後、一枚の絵が出来た。

それは「誰もが目を背けるような、人のあさましい本性の絵」だった。

 

バンビーノがいたら「ステキね」と、笑ってくれるだろう。

彼女だけが自分の絵を理解し、愛してくれたことが支えだったのに... 

自分の愚かさを嘆いた。

 

しかし、彼にはどうすることも出来なかった。

近しい人は離れ、売れる絵も描けない。

そして、褒めてくれる人はもういない。

描き続ける理由すら見当たらなくなってしまった。

 

しかし、彼は絵を描くことしか出来なかった。

やはり絵が好きだったのだ。

 

そして、10年の時が過ぎた。

彼はカラダを壊し、伏せがちになったが、今も木造アパートの1階で絵を描き続けていた。

 

今日のお話はここまでです。

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村