連続小説 ドライバー17 第二章「とある屋敷のフスマノムコウ」第八話
こんにちは、三梨 吾八です。
「王国の王子ではありません」
「ママも探していません」
チャバティ64です。
ボクも違います。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
今日はテレビの録画を見ました、「ぎぼむす」最終回です。
「グッド・ドクター」といい、何とも泣けるいいドラマが2つも終わってしまいました。
楽しみがなくなり残念ですが、どちらも続編が書けそうな終わりかたでしたね。
何年後かの「グッド・ドクター」「ぎぼむす」も見てみたいです。
ご覧になっていない方はビデオが出たら一気借りですね。
さて、連続小説 ドライバー?こちらも佳境、第八話です。
お茶でも飲みながらごゆるりとお楽しみ下さい。
(かっ、カッ、カッコよすぎる!)
ドライバー?シリーズ第二章
独り言の多い連続小説 第八話
「とある屋敷のフスマノムコウ」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「やっぱりスゴイや」本多はつぶやいた。
サインを頼まれた伝票を見ると36立米と書いてある。
「これはどういう単位なんですか?」
サインする前に本多は聞いた。
「これは、回収したものの量なんですが、ペチャンコに圧縮して乗せたとして大型トラック2台と、2トン車一台分ですね」
「圧縮しなかったら、かるく大型車5台以上になると思います」
清掃社の担当者が言った。
「すごい量だな」本多はつぶやいた。
そのつぶやきが清掃社の人に聞えたようで「そうでもないですよ、最近は自治体が監視しているから少なくなりましたが、以前は、お年寄りの一人暮らしなんかでこんなケースも結構ありましたよ」と言われ驚いた。
清掃社の人は、まだ朽ちた家具や壁紙、割れたガラスなど出ていないだけ良かったと言っていた。
大東部長が鈴木さんに「久々にやりますかぁ?」と声をかけた理由が、わかった気がした。
本多は10年勤務しているが、初めての経験だった。
「おい、本多帰るか?俺たちもう挨拶してきたぞ」
鈴木が言った。
「ハイ、それじゃボクも挨拶だけしてきます」
本多は走って玄関に行き、上着を着て襟を正し丁寧にあいさつをした。
ハバさん、ホハバさん、子供達とも丁寧に見送ってくれた。
本多は長い戦いを制し、帰途についた。
前には鈴木さん、後ろには大東部長が走っている。
なぜか、必要以上にバックミラーを見てしまう。
3台で走っていると、不思議といい気分だった。
後の車が右折のウインカーを出す。
本多は窓から右手を少し出し、手を振った。
「お疲れさまでした大東部長」本多はつぶやいた。
前の車からも手が出ていた。
大東は窓から左腕を振り曲がって行った。
「二人共、惨状を知ってて応援に来てくれるなんて...」
あらためて本多は少し涙目になった。
「あぁ、ありがたいな」本多は独り言をつぶやいた。
それから2日後、本多はTS葬儀社で霊柩車のドライバーを務めていた。
夜間など手薄な時の搬送は引き受けるが、霊柩車の運転を代行することは今までも数えるほどしかなかった。
指示書にはTS葬儀社からの注文FAXが添付されており、喪家が山口家になっていた。
不思議なことに喪家の住所は東京になっていて、本多はさらに困惑した。
FAXの備考欄に「喪家より希望のため本多さんでお願いします」と、書いてあった。
ヤマグチさんに心当たりがない本多は、遠縁の親戚とか友人の友人かと勘ぐっていた。
いずれにしても、TS葬儀会館から火葬場まで近いこともあり、左ハンドル以外は気が楽だった。
せっかくいただいた仕事なので、もちろんお受けしたが、この日に限って時間ギリギリまで他の仕事にあたっていた。
やっと現場に到着した時に霊柩車は車庫ではなく、出棺時の玄関口に横付けされていた。
もうすぐ式が終わる。
霊柩車は各社で作りが随分違うため、磨いているそぶりをしながら、確認していたところに一人のおばさんが走ってきた。
そのおばさんは本多を見るなり「先日は、本当にありがとうございました」と言い、深々と頭を下げた。
本多は一瞬誰かわからなかったが、よく見たら、その人がハバさんであることに気付いた。
「そうか、ハバさんの指名だったんだ」心の中で叫んだ。
先日とは、うって変わって当たり前だが黒一色のいで立ちで「地味なメイク、髪も縛り、首や、指の金銀財宝」も、すべて外されていた。
「いえ、私の方こそ大変失礼いたしました」
本多は、さしさわりの無い答えをした。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。