連続小説 ドライバー8「昨日の夜」第八話
こんにちは、チャバティ64です。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
今日は「BUMP OF CHICKEN」の「車輪の唄」からスタートです。
同タイトルのドラマ主題歌だった「天体観測」に続いて好きな歌です。
どちらもカラオケで歌うと盛りあがること間違いなしです。
ぜひ、聞いてください。
さて、連続小説「ドライバー?」第八話です。
ここからはティッシュを用意して、お楽しみ下さい。
(サクラサク! 見事に毎年咲くのです)
目がかすむ連続小説 第八話
ドライバー?「昨日の夜」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
宗一君は本多の手を握り、胸に包み込みもう一度大声で泣いた。
肩を抱く川崎も細かく体が揺れていた。
宗一君は顔を上げ言った。
「わかりました、わかってないかも知れないけど...」
「ボクはボクなりに精一杯家族を愛します」
「愛することは頑張ることじゃありませんよね」
「いままで通り大切な家族と過ごします」
「それが守るということですね、本多さん!川崎さん!」
宗一君はくしゃくしゃになりながらも精一杯の笑顔を見せてくれた。
今度は本多がうつむき顔を小さくふった。
川崎にいたってはすでに口が開ける状態ではなかった。
本多は振り絞った。
「参ったよ宗一君、キミ達には驚いた」
「ボクが教えてあげられることはひとつもなくて、教えられることばかりだよ」
「一度でいいから素晴らしいお父様とお話がしたかったな」
「そう思わせるのは、やっぱりキミがいるからだよ」
「ボクはキミの中で生き続けるお父様とお話しているんだね」
「そう思わずにはいられないんだよ」
「宗一君!」
宗一君は涙でくしゃくしゃになった顔を袖でぬぐった。
「ボクは本当にお父さんの子で良かったです!」
「ボクは『もう病気で助からない』と聞かされた時は、どうしてうちのお父さんだけ..そう思い、神様を恨みました」
「亡くなった時は『自分は覚悟していたんだ』と、何度も何度も自分に言い聞かせました」
「昨日までは毎日毎日不安しかなかったです」
「いまも不安はいっぱいです、でもそれだけではありません」
「昨日の夜のことは、人として必然なら『お父さんが最後に教えてくれたこと』だったと思える日が来ることを祈ります」
「神様も恨まれるより祈られた方がいいですよね」
そう言うと宗一君が微笑んだ。
本多も川崎も少しだけ微笑んだ。
「本多さん、川崎さん、ありがとうございました」
そういうと背筋の伸びた美しい立礼を見せた。
「父の最期がお二人に合わせてくれたんですね」
「やっぱり父さんはスゴイや」
一瞬辺りが暗くなった気がして見上げると、玄関上の明るい部屋から弁二君が同じように頭を下げていた。
気付いた宗一君が言った。
「弟は明日、受験なんです」
「ボクと同じ高校で、お父さんも同じなんです」
「少しでも早く休むように言ったのに...」
「そうだったんだね」本多は言った。
本多は途中でいなくなった謎が解けた。
「それではこれで失礼します」
宗一君、弁二君はヨシハラ様に戻っていた。
二人横に並び立礼をして車に乗り込んだ。
川崎はエンジンをかけライトをつけた。
宗一君に会釈し、とりあえず門から出て路肩に車を停めた。
深夜で車通りもなくライトが夜道を一直線に照らした。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。