目がかすむ連続小説ドライバー? 第一章「昨日の夜」第五話「宗一君の気遣い」
こんにちは、チャバティ64です。
焼き肉が食べたいです。
あ~たまにはいいお肉が食べたい。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
今度、商品を増やします。
ぜひとも、よろしくお願いします。
今日も、連続小説ドライバー?をお送りします。
お寺様に交渉してタンカを持つことを許された宗一くん。
とても高校生とは思えない行動力と気づかい。
本多は感心するばかりですが......
ちなみに、小説はすべてフィクションです(笑)
実体験ではありませんが、リアルに映るように頑張っています。
それでは、お楽しみ下さい。
目がかすむ連続小説 ドライバー?第一章「昨日の夜」「宗一君の気遣い」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く、
・・・「DRIVER」
「手伝っていいって!」
宗一君は嬉しそうに言った。
しかも、胸の名札まで確認しているなんて、ますます感心するばかりだった。
本多はまた「にやけそうになる」のを堪えた。
聞けば弟の弁二君は、まだ中学生だった。
やはり、しっかりしたあいさつの出来る子で感心させられた。
それから、家に入り布団の向きや位置を確認し、弁二君を含む男4人でお父様をお連れした。
お布団にゆっくり寝かせて一通り処置をした。
お飾りを済ませた頃、弁二君はいなくなっていた。
宗一君はお母さんの背中をさすりながら正座してこちらをジッと見ていた。
弁二君にも一緒に聞いて欲しかったが、奥様と宗一君に説明を始めることにした。
なぜ一緒に聞いて欲しかったかというと、奥様が病院で見た気丈な感じが無くなり、うつむいたままだったからだ。
家のことはやはり女性が大切で、やってもらいたいことがたくさんあるが仕方ない。
故人の右側に座布団をしき、四人共に正座をしながら開始した。
うなだれた奥様は頼りなく、宗一君が主体となった。
本人もその認識が高く、刺さりそうなまなざしで、一語一句逃さない気構えが見えた。
手にはメモ用紙とペンも握られている。
【やはり、この子はスゴイな!】
本多は思った。
まず、スケジュール確認のため本多が言った。
「先ほどお寺様に電話をされたときご住職は何かおっしゃってましたか?」
「明日の午前中に枕経というものをするそうです」
宗一君が言った。
「わかりました」本多は静かに話を始めた。
となりにいる川崎も,話術を学ぶべく聞き入った。
「俗説的なお話をしますと……」
「お父様はまだ故人ではなく……」
「お経をあげてからは線香は絶やさず……」
「火の取り扱いには十分注意して……」
15分程だろうか長々話している感じはしないが時間は過ぎていた。
「あとは葬儀社の方に引継ぎしておきますので、何かあればお尋ね下さい」
「最後に、何かご質問はございますか?」
この問いに奥様が顔を上げてくれた。
本多が二人の顔を、やさしいまなざしで見ながら待ったが質問は出なかった。
「それでは私共はこれで失礼させていただきます」
二人そろってビシッとした土下座で挨拶をした。
「うわぁ~」
糸が切れたかのように奥様が嗚咽と共に泣き叫ぶ。
すかさず、宗一君が「大丈夫だよ、大丈夫だよ」と声をかけながら背中をさする。
「このうちには、こんなに立派な子がいて幸せだな」
色々な現場を見てきた本多は素直にそう思えた。
そして本多は川崎に目くばせし、それを後目に立ち上がり荷物を持った。
「母がこんな感じですからボクがお見送りします」
「お茶もお出ししなくて、すいませんでした」
宗一君が言った。
「しかし、どこまでしっかりした子なんだろう」
この日、何度感心させられたのだろうかと思いかえしたが、さすがにここまでくると完璧すぎて何か危ういものも感じていた。
玄関から外に出ると月明かりが美しい夜だった。
本多は右腕の時計を「チラッ」と見た。
「それでは失礼します」
「お見送り申し訳ありませんでした」
本多はお礼を言い、川崎は頭を下げた。
薄暗い中、宗一君は下を向いたままだった。
本多は聞いた。
「ヨシハラ様いかがされましたか?」
宗一君が顔を上げると、涙でくしゃくしゃだった。
絞り出すような声で言った。
「本多さん、ボクは...ボクは...」
「これから...これから...どうしたら...」
「ボクは...これからどうしたらいいか...」
「うわぁ~」
宗一君は地面にヒザをつき、泣き崩れてしまった。
今日のお話はここまでです。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。