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〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

目がかすむ連続小説ドライバー? 第一章「昨日の夜」最終話「涙」

こんにちは、チャバティ64です。

 

明日から出張です。

ちょっと忙しくしていたら晩御飯を食べるのが遅くなりました。

今夜は胃もたれしそうだなぁ。

 

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

 

よろしくお願いします。

 

今日で、連続小説ドライバー?の第一章が終了します。

泣き崩れた宗一君にやさしく声をかける本多、それを見守る川崎。

何か吹っ切れた宗一君の涙はどこへ向かうのか?

最終話スタートです。

 

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目がかすむ連続小説 ドライバー?第一章「昨日の夜」最終話「涙」

 

 (この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙で濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く、

・・・「DRIVER」

 

宗一君は顔を上げ言った。

 

「わかりました、わかってないかも知れないけど...」

「いままで通り大切な家族と過ごします」

「愛することは頑張ることじゃありませんよね」

 

「ボクはボクなりに、精一杯家族を愛します」

「それが守るということですね、本多さん!川崎さん!」

 

宗一君はくしゃくしゃになりながらも精一杯の笑顔を見せてくれた。

 

今度は本多がうつむき顔を小さくふった。

川崎にいたっては、すでに口が開ける状態ではなかった。

 

本多は振り絞った。

 

「参ったよ宗一君、キミ達には驚いた」

「ボクが教えてあげられることはひとつもなくて、教えられることばかりだよ」

「一度でいいから素晴らしいお父様とお話がしたかったな」

 

「そう思わせるのは、やっぱりキミがいるからだよ」

「ボクはキミの中で生き続けるお父様とお話しているんだね」

「そう思わずにはいられないんだよ、宗一君!」

 

宗一君は涙でくしゃくしゃになった顔を袖でぬぐった。

 

「ボクは本当にお父さんの子で良かったです!」

「ボクは『もう病気で助からない』と聞かされた時は、どうしてうちのお父さんだけ..」

「そう思い、神様を恨みました」

 

「亡くなった時は『自分は覚悟していたんだ』と、何度も何度も自分に言い聞かせました」

「昨日までは毎日毎日、不安しかなかったです」

「いまも不安はいっぱいです、でもそれだけではありません」

 

「昨日の夜のことは、人として必然なら『お父さんが最後に教えてくれたこと』だったと思える日が来ることを祈ります」

「神様も恨まれるより祈られた方がいいですよね」

 

そう言うと宗一君が立ちあがり微笑んだ。 

本多も川崎も、立ちあがり少しだけ微笑んだ。

 

「本多さん、川崎さん、ありがとうございました」

そういうと、宗一君は

 

背筋の伸びた美しい立礼を見せた。

 

「父の最期がお二人に合わせてくれたんですね」

「やっぱり父さんはスゴイや」

 

一瞬辺りが暗くなった気がして見上げると、玄関上の明るい部屋から弁二君が同じように頭を下げていた。

 

気付いた宗一君が言った。

「弟は明日、受験なんです」

「ボクと同じ高校で、お父さんも同じなんです」

「少しでも早く休むように言ったのに...」

 

「そうだったんだね」本多は言った。

本多は途中でいなくなった理由が分かった。

 

「それでは、これで失礼します」

 

本多は、川崎と横並びで立礼をして車に乗り込んだ。

 

川崎はエンジンをかけライトをつけた。

宗一君に会釈し、とりあえず門から出て路肩に車を停めた。

深夜で車通りもなくライトが夜道を一直線に照らした。

 

「ハァ~、川崎、お疲れ様」

「すこしくたびれたな~、帰ろう!」

本多の問いに川崎は黙っていた。

 

「はやく距離と時間、言えよ、終了伝票かけないよ」

「はい、えぇ~サンマ~ン…ニセ~ン…ヨンロク…ゼロキロ~帰社します」

 

「時間は?」

2人は車内の時計に目を向ける。

 

「本多さん、自分、疲れてるのか目がかすんで読めないっす」

「読んでもらえないっすか?」

 

「えっ?」

 

「あれっ? えぇ~イチ…ジ~?」

「どうしたんだろう?時計の針が、かすんで読めないよ」

「今日はオレも疲れてるんだなぁ」

 

本多は川崎と顔を見合わせた。

二人とも「涙でくしゃくしゃな顔」だった。

 

「ハハハ、参ったな」

「この仕事について初めてだよ、こんなの」

本多が言った。

 

「そうっすね、自分もそうっす」

「ホントに参りました」

「明るいとこで見たら顔、すごいっすよ、きっと」

川崎が言った。

 

続けて本多が言った。

「あ~ぁ、鈴木さんに怒られるなぁ」

「あの人の信条は『霊柩車の運転手は絶対にもらい泣きしてはいけない』だもんな」

「昔、何かで山葉さんが怒られてるのを見たことあるよ」

 

「えぇ~じゃぁ内緒でお願いしたいっす」

 

「そうだな二人だけの秘密な」

「とりあえず、気を付けて帰ろう」

 

「ハィ、1時42分帰社します」

「本多さん時間言えますか?」

 

本多は時計をチラッと見て「1時42分だろ?」と言った。

 

「本多さん、まだ目がかすんでますね~」

「今は1時53分っすよ」

「さっき、突然時間を言わされたののお返しっす!」

 

「おまえ~!」

 

「ハハハッ、帰りましょ本多さん!」

 

仕事がら目がかすむほどの涙は今までなかった。

二人にとって昨日の夜の出来事は、生涯忘れられない思い出となった。

 

おわり

 

 

いかがでしたか?

ドライバー?第一章「昨日の夜」

このお話は葬儀社に勤務する友人から聞いたものです。

この業務(搬送)に関しては「運転手さん」とか「ドライバーさん」と呼ばれることが多いそうです。

そして受注などに行くと「葬儀社さん」と呼ばれ、進行をすると「司会者さん」と呼ばれ、湯かんをすると「おくりびと」だとか、ひそひそ言われるそうです。

 

不思議なお仕事ですね。

特に「ドライバーさん」と呼ばれることには、ものすごく違和感があるそうで「?」を付けました。

やはり、タクシーの二種免許のイメージがあり、引け目を感じるそうです。

また、これらの仕事を総合して行っているのが葬儀社さんですが、役割分担で外注業者を雇うこともあります。

それが「おくりびと」で有名になった湯灌業務の会社だったり、この「ライラック特殊搬送」だったりします。

 

まだまだ、たくさんの物語があります。

また、近日中に次回作をお出しします。

よろしくお願いします。

 

今日のお話はここまでです。

 

あなたの日々がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

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