目がかすむ連続小説ドライバー? 第一章「昨日の夜」第六話「覚悟」
こんにちは、チャバティ64です。
今日は朝から息子の引っ越しの手伝いです。
なんだか切ないです。
あ~親って寂しい生き物ですね。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
今日も、連続小説ドライバー?の第一章をお送りします。
とうとう泣き崩れた宗一君。
本多は何を思い、何を伝えるのか?
お楽しみ下さい。
目がかすむ連続小説 ドライバー?第一章「昨日の夜」第六話「覚悟」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く、
・・・「DRIVER」
「ボクは...これからどうしたらいいか...」
「うわぁ~」
宗一君は地面にヒザをつき、泣き崩れてしまった。
それを見た本多が、右隣に胡坐をかき座った。
そして、左手で背中をさすりながら言った。
「ヨシハラ様...いや、宗一君でいいかな?」
宗一君は下を向いたままうなずいた。
川崎も左隣りに胡坐をかき座った。
そして、右手で肩を抱くように手をかけた。
3人で、夜中に地面に座る不思議な光景だ。
本多が静かに丁寧に聞いた。
「宗一君、君は家族をこれからどうやって守っていくのかを考えてるんだね?」
宗一君は震える小さな声で答えた。
「はぃ、そぅです...」
本多は言った。
「ボクはね、キミを見ているとお父様が、どれほど立派な方だったかがわかる気がするんだよ」
「それほどキミの行動、言動は素晴らしいし、そのキミを育てたお父様だから、すごい人に決まってる」
「そうだよね...」
宗一君は、歯を食いしばり大きく何度もうなずいた。
「だけどね、これを見てくれるかな?」
本多は右腕の時計のバックライトを光らせた。
「かすんで...見えま...せ..ん」
宗一君は言った。
「川崎!」本多は言った。
「12時45分です...」すかさず川崎が答えた。
突然ふられた川崎は少々驚き、
【本多さん、自分で言えばいいのに】
と思った。
本多は静かに、ささやくように続けた。
「宗一君...」
「残念だけど、人は生まれたら必ず死ぬんだよ」
「これは絶対なんだ、キミもボクも...」
「宗一君、お父様にはね...」
「今日が来なかったんだよ」
「わかるかい...?」
宗一君は小さくうなずいた。
「いいかい?お父様の死はね...」
「昨日の夜のことなんだよ」
「宗一君には今日が来たんだ...」
「宗一君にとっては、お父様のいない残酷な今日かもしれない」
「でも、お父様が望んでいた今日なんだよ...」
本多の声が少し大きくなった。
「宗一君、わかるよね」
「いま、今日を生きてるんだよ!」
「お父様のしたかったこと、お父様にしたかったこと、お父様からしてもらいたかったこと、お父様の分まで、すべてを大切に思い、願うんだ!」
「頑張る必要なんてどこにもないよ...」
「大好きなお母さんと、大好きな弟と、今までと変わらず暮らせば、それでいいんだよ!」
「宗一、精一杯に今日を楽しく笑って過ごせ!」
「お父様なら、こう言うんじゃないかな?」
宗一君は下を向いたまま、小さく何度もうなずいた。
「お父様の肉体は滅んでしまったけど魂は残るよ」
「ここに...」
本多は軽く握った右の手を宗一君の胸に「トントン」と当てた。
宗一君は本多の手を握り、胸に包みながら、もう一度大声で泣いた。
肩を抱く川崎の肩も細かく体が揺れていた。
宗一君は顔を上げ言った。
「わかりました、わかってないかも知れないけど...」
今日のお話はここまでです。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。