生きてて良かった!- 茶 葉 tea’s -

〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

連続小説 ドライバー7「昨日の夜」第七話

こんにちは、チャバティ64です。

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

よろしくお願いします。

 

今日は「LOVEPSYCHHEDELICO」の「Last Smile」からスタートです。

 結構前の歌ですが古さを感じさせないゆるいビートとのびやかでけだるいネイティブ感のあるKUMIさんの声がマッチした名曲です。

当時、なかなかバンド名を覚えられませんでした。

いまあらためて聞いてもやっぱりカッコイイ!

 

さて、連続小説「ドライバー?」第七話です。

ここからはハンカチを握りしめ、お楽しみ下さい。

 

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 (過去にも未来にも行けないからこそ人の一生は永遠だと思えるのです)

 

目がかすむ連続小説 第七話

ドライバー?「昨日の夜」

(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙で濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

「ヨシハラ様いかがされましたか?」

宗一君が顔を上げると涙でくしゃくしゃだった。

 

絞り出すような声で言った。

「本多さん、ボクは...ボクは...」

「これから...これから...どうしたら...」

「ボクは...これからどうしたらいいか...」

 

「うわぁ~」

 

宗一君は地面にヒザをつき、泣き崩れてしまった。

それを見た本多が、右隣に胡坐をかき座った。

そして、左手で背中をさすりながら言った。

 

「ヨシハラ様...いや、宗一君でいいかな?」

宗一君は下を向いたままうなずいた。 

 

川崎も左隣りに胡坐をかき座った。

そして、右手で肩を抱くように手をかけた。

3人で、夜中に地面に座る不思議な光景だ。

 

本多が静かに丁寧に聞いた。

「宗一君、君は家族をこれからどうやって守っていくのかを考えてるんだね?」

 

宗一君は震える小さな声で答えた。

「はぃ、そぅです...」

 

本多は言った。

「ボクはね、キミを見ているとお父様がどれほど立派な方だったかがわかる気がするんだよ」

「それほどキミの行動、言動は素晴らしいし、そのキミを育てたお父様だもの、すごい人に決まってる、そうだよね...」

 宗一君は大きく何度もうなずいた。

 

「だけどね、これを見てくれるかな?」

 本多は右腕の時計のバックライトを光らせた。

 

「かすんで見えません」

 宗一君は言った。

「川崎!」本多は言った。

 「12時45分です」すかさず川崎が答えた。

 

 突然ふられた川崎は少々驚き

「本多さん、自分で言えばいいのに」と思った。

 

 本多は静かにささやくように続けた。

「宗一君...」

「残念だけど、人は生まれたら必ず死ぬんだよ」

「これは絶対なんだ、キミもボクも...」

「宗一君、お父様にはね...」

「今日は来なかったんだよ、わかるかい...?」

 

宗一君は小さくうなずいた。 

 「いいかい?お父様の死はね...」

 

「昨日の夜のことなんだよ」

 

「宗一君には今日が来たんだ...」

「宗一君にとってはお父様のいない残酷な今日かもしれない」

「でも、お父様が望んでいた今日なんだよ...」

 

本多の声が少し大きくなった。

「宗一君、わかるよね」

「いま、今日を生きてるんだよ!」

 「お父様のしたかったこと、お父様にしたかったこと、お父様からしてもらいたかったこと、お父様の分まで、すべてを大切に思い、願うんだ!」

 

「頑張る必要なんてどこにもないよ」

 

「大好きなお母さんと弟と今までと変わらず暮らせばそれでいいんだよ!」

「宗一、精一杯に今日を楽しく笑って過ごせ!」

「お父様ならこう言うんじゃないかな?」

 

 宗一君は下を向いたまま小さく何度もうなずいた。

 

「お父様の肉体は滅んでしまったけど魂は残るよ」

 

「ここに...」

 

本多は軽く握った右の手を宗一君の胸に「トントン」と当てた。

 

宗一君は本多の手を握り、胸に包みながら、もう一度大声で泣いた。

 

 今日のお話はここまでです。

このお話は明日に続きます。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。