バレンタインは魔女の味、ばぁば、これなぁに?
こんにちは、チャバティ64です。
明日はバレンタインデーですね。
ボクは毎年恒例のジャイアントコーンがまだ買い置きされていないことにそわそわしています。
お返しが大変なんですけどねぇ(*´Д`)
今日は、バレンタインデー特別読み切りで、あの二人が帰ってきます。
あの二人をご存じない方ばかりだと思いますが、季節のイベントごとに現れます。
毎年恒例の過去ログ3年目です(笑)
ハロウインはこちら ↓↓↓
ハロウィン限定ショートストーリー
「祖母が悪魔になった夜」をお時間がございましたら、ご参照下さい。
せめてほうきに乗ろっか?
それではお楽しみ下さい。
バレンタインデー限定ショートストーリー
「バレンタインは魔女の味、ばぁば、これなぁに?」
(この物語はフィクションです、登場人物、団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
「また今年も...」
「バレンタインデーなんて....」
私は、相変わらず田舎で独り暮らしを満喫する祖母のところへ、ちょくちょくお茶を飲みに行っている。
変な言い方だけど、去年のハロウィン以来、祖母が可愛くて仕方がない。
年は80を過ぎてるけど、連絡はいつもスマホでLINE。
かわいいスタンプもいっぱい持ってる。
とにかくハイパーな、ばぁばなのだ。
あれから「クリスマス」「お正月」と、一緒に楽しく過ごした。
なんだか昔からの友達のような関係だ。
祖母からは「いい加減、彼氏の一人も連れてこい」と言われるけど、こればっかりは縁がない。
去年の成人式でも、同窓会でも、何一つ浮いた話は回ってこないんだもん!
しょうがないよね。
誰かチョコパワーわけてくれないかなぁ。
今日、仕事帰りに祖母の家に寄ってみた。
一週間ぶり、もう晩御飯食べたかなぁ~?
「ばぁばぁー、こーんばぁんわぁ~!」
【もちろん玄関開けっ放し】
「あれっ?」
【返事がない?】
「ばぁばぁ、いないの~?」
【そんなことはないはず】
私は勝手にあがっていた。
祖母は、台所に立って何やらかき混ぜていた。
後ろから見ると、ツボの薬をかき混ぜる魔女のようだ。
「もぉ、ばぁば返事もしないでぇ」
私は後ろから、肩を叩いた。
そうしたら祖母は「ビクッ」とした。
振り向くと、髪のスキマから耳に何かついているのがみえた。
「ばぁば、補聴器の調子が悪いの?」
祖母は補聴器らしきものを外して言った。
「なんだ、あんたか」
「いきなり脅かすんじゃないよ」
「心臓が止まっちゃうだろ?」
【ばぁば、冗談でもヤメて】
「こりゃ補聴器じゃないぞ」
「ワイレスイヤーンじゃ」
【ばぁば、どんなイヤーンなの?】
(ワイヤレスイヤホン)
「お寺の住職にもらったヤツで、いい音がするんじゃよ」
「たしか、外国のメーカーでな」
【お寺って、ばぁば、それって!】
「AKGじゃ」
【そこは、BOSE(ボーズ)じゃないの?お寺だけに】
「ノズキャーン付のフルーツ対応じゃ」
【それはもう、なんの対応かわからない】
【あ~私、今日も一人突っ込みが止まらな~い!!!】
「ばぁば、何を作ってたの?」
「晩御飯?」
「見るか?」祖母が鍋を見せてくれた。
「チョコ?」私は驚いた!
「決まってるだろう、今日はバテレンのインデーじゃ」
【踏み絵をチョコで作ってるの?】
「手作りチョコでハートをわしづかみじゃ!」
【AEDで、心臓マッサージ?】
「ばぁば、いま作ってちゃ間に合わないよ」
「今日は配らなきゃダメなんだよ」
祖母は、鍋のチョコをかき混ぜながら、
「なんでじゃ、まだ間に合うぞ」
そう言うと、ドロドロに溶かしたチョコを型に入れて、冷凍庫にしまった。
【夜中にお寺さんが取りにくるのかなぁ?】
「さて、お茶でも飲むかのぅ」
「あんた、ご飯は食べたのか?」
「うん、軽く食べて来たからいらないよ」
「そうか、何にもないけどな」
【じゃあ、なんで聞いたの?】
「じゃあ、おやつでも出すか?」
【ばぁば、夜の八時におやつなの?】
「あんた、ジャガリントウは好きかえ?」
【じゃがりこ?カリントウ?】
お茶を淹れてくれた。
熟練のワザなのか、祖母がいれるお茶はとてもおいしい。
「ほりゃ、お茶じゃぁ」
「ばぁば、ありがとう」
「いただきま~す!」
「ばぁば、このお菓子おいしいね」
「なんてお菓子なの?」
「ジャガイモをな、細長く切ってカリカリに揚げて、黒砂糖で煮詰めて作ったんじゃよ」
【ホントにジャガリントウじゃん...】
祖母と二人でしばらくお茶とお菓子とお話を楽しんだ。
夜も九時を回ってそろそろ祖母が眠くなる時間だ。
「ばぁば、私、そろそろ帰るよ」
「そうか、ちょっと待ってな」
祖母は冷凍庫から何かを出して新聞紙で包んでいた。
「ほれ、もって帰れ」
「ばぁば、これなぁに?」
「バルーンタイプのチョコじゃ」
【バレンタインの原型がないよ】
「えっ、チョコ?」
「ほら、間に合ったじゃろ」
「友チョコじゃ」
「これからもよろしくなぁ」
「ばぁばぁ~」
私はうれしくて思わず抱きつきました。
こんな女子力の高い祖母は私のあこがれです。
「ばぁば、だ~いすき!」
おしまい
今日のお話はここまでです。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。