子供たちの将来を考える連続小説ドライバー 第四章「あの人の手紙は...」第八話「ラブレター」
こんにちは、チャバティ64です。
今日は、お茶の仕上げの手伝いです。
なかなか過酷な重たいものを持つ作業です。
一日に何度も50kg以上ある箱を頭の上に持ち上げます。
筋トレしながらお金がもらえるなんて最高!!
ほら、もっと重たいものをオレによこせ!
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
本日も連続小説をお送りします。
最後のラブレターをもらった奥さんは決心した。
この場所で家族を守り抜くと。
故人の思いは届くのか。
そして援軍が現れます。
いよいよクライマックス間近となりました。
第八話スタートです。
(父さん、あっぱれじゃ~!)
子供たちの将来を考える連続小説
第四章ドライバー?「あの人の手紙は...」第八話「ラブレター」
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「とうさん」「とうさん」兄Aも兄Bも続けて父を呼んだ。
奥さんは言った。
「私はこのお金でここを買います」
「義母さんは弟さんの所へ行くんですよね」
「お姉さんには分配した財産と同金額をお渡しします」
「それでよろしいんですよね」
「叔父さんは立会人として御了承いただけますか?」
叔父(故人の父の弟)は、不動産業を営んでいて近所に住んでいた。
縁が無くひとり身だが「独身貴族」だと、いつも言っている人だ。
ずっと黙っていた叔父が口を開いた。
「俺でよければ喜んでやらせてもらうよ」
「土地と家の鑑定はあらかた済んでて、銀行の見立てでも2,500万がいいとこだ」
「あんたが買うってことでいいんだな?」
「ハイ、お願いします」
奥さんはニッコリ笑った。
続いて叔父が言った。
「甥っ子が先に逝っちまうなんてな」
「でも、こいつもきっと喜んでるよ」
「あんたも大変だった、よく我慢したなぁ」
義母や弟がバツ悪そうに目を泳がせていた。
「俺はな、兄貴(故人の父)に大恩があるんだ」
「兄貴と10才以上違うんだが、オヤジもおふくろも早く死んでな」
「俺のことは兄貴が面倒見てくれたんだよ」
「畑を耕して稼いだ金で大学まで出してくれてなぁ」
「なんか手に職を付けろって言われて、宅建の免許も取らせてもらったんだよ」
「免許は取ったけど仕事がなくて、兄貴の友達に土地を紹介してもらっては、商売にして、それで不動産屋が軌道に乗ったんだよ」
「若い頃からずっと働きっぱなしで、それで寿命が縮んだんじゃないかと今でも思ってる」
「きっと俺が働かせたんだよ、学費のためにな...」
「それでな、不動産屋が軌道に乗ったころ兄貴に聞いてみたんだ」
「もう少しのんびりしたらどうだ?」
「なにか楽しみは無いのかって?」
「そのときに兄貴が言ったんだ!」
「家族揃って畑をやるのが生きがいだって」
「娘と息子が増えたから、もっと頑張らなくちゃって」
「でも、毎日楽しくて仕方がないって」
(故人のほうを見て)
「こいつが後を継ぐって言ったって、ずいぶん喜んでたよ」
「楽しくやるのが農業だって、兄貴いつも言ってたから...」
「大変だったろうになぁ」
「その大恩ある兄貴の息子に、せめて恩返しをしたかった」
「それだけがなぁ…残念だよ」
「だからな、俺に出来ることだったら遠慮なく何でも言ってくれよ」
叔父は故人の布団をポンポンと叩きながら目頭を押さえた。
「こいつの見舞いに行った時に、この話をしたんだ」
「そうしたらこいつ泣いてたよ」
「その時に、これを預かったんだ」
叔父は内ポケットから「真っ白い封筒」を取り出し、奥さんに渡した。
奥さんはそれを受け取って開けようとしたが、びっしり糊付けされていた。
ハサミを持ってきて切り、みんなの目の前で広げた。
もちろん、内容を見るのは叔父も初めてだった。
それは、死亡保険の相続に関するものだった。
分配 妻 4千万円
兄A 2千万円
兄B 2千万円
モカ 2千万円 とする。
分け隔てなく家族を愛した故人の気持ちそのものだった。
叔父が言った。
「兄貴にそっくりだ」
「あとは俺にまかせろ、安心して親父のとこ行ってこい」
また、故人の布団をポン、ポン、とやさしく叩いた。
一部始終を見ていた本多は胸のすく思いだった。
「人はみな、思い出によって人生が出来ている」と ...
楽しかった思い出
つらかった思い出
悲しかった思い出
嬉しかった思い出
人それぞれ印象深く残った感じ方によって、いい思い出にもなり、悪い思い出にもなる。
振りまわされる人
勇気づけられる人
心の支えとする人
【同じ時間を過ごしても、とらえ方でこうも違うものか?】
本多は、この家族には特にそういう印象を受けた。
今日のお話はここまでです。
いよいよ明日は最終話です。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。