子供たちの将来を考える連続小説ドライバー 第四章「あの人の手紙は...」第四話「少女の名は」
こんにちは、チャバティ64です。
いや~小説っていいですね。
自己満足の世界というか、エゴというか。
ブログじゃなきゃ世に出せない。
そんなネタですね。
はてなでやってきて良かった~!
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
自宅に到着し、手際よく作業をする。
いつものように仕事をするはずの本多だが...
毎回ドラマのような日常がここにあります。
第四話をお送りします。
(寒いと思ったら...)
子供たちの将来を考える連続小説
第四章ドライバー?「あの人の手紙は...」第四話「少女の名」
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「まぁ~だぁ~、もう少しお父さん見てるから」
女の子(モカちゃん)は答えた。
「えらいねぇ、モカちゃんっていうんだね」
「いま何歳なの?」
本多は精一杯のやさしい顔で聞いた。
「6歳だよ、小学生になったの」
モカちゃんは言った。
「そうなんだね、うちの子と一緒だよ」
「学校は楽しい?」
本多は精一杯のやさしい声で話し続けた。
【あとは、点検と説明だな】
「モカちゃん先にご飯食べておいで、用意出来たら一番に呼んであげるから」
「さぁ、行っておいで」
本多はモカちゃんを部屋から追い出した。
実は、話し続けていたのも、追い出したのも訳があった。
「だからさぁ、兄さんが死んだんだからこの家、誰が継ぐの?」
「オヤジもとっくに死んでんだから、農家なんか誰もやらないよ」
「畑も、土地もたくさんあるんだから、処分して分配しようよ?」
「おふくろは俺が引き取るからさぁ」
よくある話だが、ふすまの向こうから随分とイヤな話が聞えて来ていた。
これをモカちゃんに聞かせたくなかったから、本多は話続けていたのだった。
しかし亡くなった当日に、この手の話は人間の欲としかいいようがない。
原始人のネアンデルタール人も、故人に花を手向けていた遺跡が見つかったと聞いた。
せめて葬儀が終わるまでは、そっとしておいてほしいものだ。
他人ながら、少し悲しくなった。
故人もきっと悲しむに違いない。
本多は、明るい奥さんも気になったが、家庭の事情も気になってしまった。
あまりいい予感がしない。
用意がすべて整い、あとは説明して終わるだけになっていた。
本多は、この説明が得意だった。
間の取り方、人が関心するしぐさを熟知していた。
とくに最後の挨拶「土下座」には特に定評があった。
川崎も、ベテランの鈴木も驚いたほどのテクニックだ。
それは、簡単なことだが時間が長いのだ。
ひとのお辞儀は、せいぜい長くて2秒程度のものだ。
本多の土下座は頭を下げてから上げるまで5秒と決めている。
頭を上げたときに全員が起き上がっているため、特に丁寧に見えるのだ。
しかし、本多は狙ってやっていたわけではない。
気持ちを込めたしぐさが評価されただけなのだ。
従って今更やめることもできない。
モカちゃんの食事が終わったようだった。
皆を集め説明を始めることにした。
まずは約束通り、モカちゃんを呼びに行き、彼女に皆を呼びに行ってもらった。
5人がぞろぞろとやってきた。
奥さんに先ほどの笑顔はなくなり、無表情だった。
5人の内訳は
故人のお母さん
故人のお父さんの弟
故人の姉
故人の弟
故人の奥さん
だった。
奥さんには完全にアウェイ感があったが、すぐに援軍があらわれた。
遅れて高校生の息子たちが加わり、モカちゃんを含めて8人になった。
構図的には4対4のようにも見えた。
本多は余分なことばかり考えてしまい、集中力が欠けていくのがわかった。
まずはこの場を何とかしないといけないと思った。
「それではご説明させていただきます」
「まずは、故人にはドライアイスを...」
「枕もとにあるお飾りは...」
「...」
話は進んだが、故人の弟と姉は聞いている感じではなかった。
【本当に兄弟なんだろうか?】
本多はいくつも不思議に思っていた。
笑顔の奥さんに、故人に寄り添えない兄弟。
当日に相続などの話をする家族。
本多の経験上、故人が若いほどこのような状況にはならない。
何かあると勘ぐってしまった。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。