この回だけは最後まで読んでほしい!連続小説ドライバー39 第四章「土下座のムコウ」第七話
こんにちは、チャバティ64です。
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BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
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よろしくお願いします。
今日は歌はナシで頑張ってます。
本日も連続小説ドライバーをお送りします。
自殺を考える奥さんに打つ手はあるのか?
とんでもないことに巻き込まれた本多の運命は?
第七話スタートです。
(祝日は一泊おいくらですか?)
子供たちの将来を考える連続小説
第四章ドライバー?「土下座のムコウ」第七話
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
本多は言った。
「わたしですか...?」
奥さんは話はじめた。
「そうです、あなたです」
「私は、病院にいるときから死ぬことだけを考えていました」
「あの車に乗せてもらうまでは...」
本多は思った。
【そういうことだったのか】
本多は、あの振り切れた笑顔は覚悟が決まっていた表れだったのかと納得した。
そうでなければあの状況で、あの表情は考えにくい。
ひとつ謎が解けた気がした。
奥さんは今まで思っていたことを言った。
「主人が余命宣告を受け入院してから、それまで寄り付かなかった弟さんがたびたびみえていたことは気になっていました」
「お義母さんがよく電話されていたのも知っていました」
「『主人の前妻は、よくできた嫁だった』と何度も言われましたが、私がいたらないことはよくわかっています」
「申し訳なく思っていますが、さけられるのはつらいです」
「私は、一人でこの家を守っていく自信はまったくありませんでした」
「ですから、主人が亡くなったら自分も死んで、棺だけ買っておけば、いっぺんに葬式も済むし、費用も安くなると真面目に考えていました」
「私は子供たちのことを考えるあまり、子供達を不幸にするところでした」
「ただでさえ主人が亡くなり、よりどころを失ったばかりなのに、なんて愚かなことを考えていたのかと思います」
奥さんは正座した膝の上で手を強く握りしめ、大粒の涙をこぼしながら語った。
「かあさん!」
兄Aと兄Bが同時に叫んだ。
「何考えてんだよ!バカもやすみやすみ言えよ!」
兄Bが大きな声で言った。
「そうだよ、かあさんがどうかなったら俺たちどうすんだよ」
「バカなこと考えんじゃねえよ!」
「頼むよ、かあさぁ~ん」
兄Aは泣きながら母にしがみついた。
奥さんの背中にはモカちゃんがピタッと張り付いていた。
モカちゃんは母親の後ろから親戚をにらみつけていた。
「おかあさんをいじめる人はモカ許さない!」
モカちゃんはありったけの大声で言った。
本多は、すこし胸のすく思いだった。
奥さんが続けた。
「この運転手さんとね、病院から家までお父さんと送って貰う時に話をしたの」
「旅行もほとんど行ったことないし、日曜も畑に行ってて仕事ばっかり、楽しくなかったって愚痴っちゃってね」
「でもね、本当はお父さん、すごくいろんなことをやってたの」
「当たり前すぎて忘れていただけで、ものすごくたくさんの思い出があったのよ」
「あふれるようにたくさんで、私には抱えきれないステキな思い出ばかりだったの」
「私は家族との思い出がたくさんあるこの場所を手放すなんてできない」
「みんなに見せたいものがある」
「私は、お父さんから言われた言葉を思い出したの...」
「最後の...」
【声がつまって聞えなかった】
奥さんはそう言うと立ち上がり、仏壇の引き出しから一枚の封筒を出した。
それは、生命保険の証書だった。
死亡時の受け取り金額は...
「イチ、ジュウ、ヒャク、セン、マン……オク?」
兄Bが読み上げ、兄Aは目をこすった。
間違いなく「一億円」だった。
「私もすっかり忘れていたし、帰ってきて開けるまで金額も知らなかった」
「だけど、お父さんが言ったの」
「これがお前に渡す『最後のラブレター』だって!」
奥さんは一際大きい声で言った。
【今度は聞えた!】
【ご主人カッコよすぎる!】
本多は不謹慎にもニヤつきそうになってしまった。
「とうさん」「とうさん」兄Aも兄Bも続けて父を呼んだ。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。