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〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

連続小説ドライバー34 第四章「土下座のムコウ」第二話

こんにちは、チャバティ64です。

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

よろしくお願いします。

 

本日も連続小説ドライバー第四章をお送りします。

ひょうひょうとした女性は誰なのか?

女性のペースに本多は、ついつい話に乗ってしまいます。

とまどう展開の第二話です。

お楽しみ下さい。

 

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(これからもっと良くなります)

 

子供たちの将来を考える連続小説 

章ドライバー?「土下座のムコウ」第二話

 

(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙に濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

女性は笑顔で答えてくれた。

 

早速、病院にご挨拶し自宅に向かうことにした。

自宅を聞けば結構遠方で、ここから1時間半はかかる距離だった。

 

【こんな遠くじゃ、お見舞いも大変だったろうにな】

本多は思った。

 

「トリップ ゼロ点確認35021km・13時51分、ご自宅に向け出発いたします」

 

本多はいつものように緩やかに発進した。 

走り出してから,すぐに女性が話を始めた。

どちらかと言えばめずらしいパターンだ。

基本的に、皆無口で道案内のみが普通だ。

タクシーのように話す人はあまりいない。

 

「ねぇねぇ、ドライバーさん」

「さっきの看護師さん、おじいちゃんとか言ってたけど、まだこの人は42歳ですからね」

「まったく、失礼しちゃうわ」

 

【えっ】本多もこころの中で驚いた。

先ほど見えた顔は失礼ながら、とても40代には見えなかった。

 

「あとで、死亡診断書の確認のため、お伺いしようと思っていました」

「お年は42歳なんですね」

本多は、さとられまいと落ち着きを装い言った。

 

「そうなんですよ、若いでしょう」

「ここ5年病んでて、ずいぶん老けちゃってねぇ」

「それでも頑張った方じゃないかしらね」

 

「子供もまだ小さい子がいるんですけどね」

 

女性はやはり、笑顔で話していた。

 

本多は違和感というか不信感があった。

【このひとは誰なんだ?見当がつかない】

 とりあえず無難に答えたつもりだった。

 

「本当にご愁傷様です」

「ご家族はさぞかし悲しまれますね」

「お子さんは、おいくつなんですか?」

 

よせばいいのに話に乗ってしまった。

 

「三人いて、上の男の子2人は高校生」

「下の女の子は小学校に今年入ったばかりなんですよ」

「年が離れたぶん可愛くってね、フフフッ」

やはり、笑顔で話す女性が不思議に思えた。

 

本多が答えた。

「そうなんですね、小学生なら「もの心」ついてますから悲しみますね」

「いっそ、もう少し小さければわからないでしょうけど」

「子供にとっては残酷ですよね」

 

女性は少し大きい声で言った。

「もの心ついてるからいいんじゃないですかぁ」

「お父さんが初めからいなければ仕方ないですが、一緒に暮らしていたのに思い出が無い子の方が可哀そうだと思うんですよ」

 

「私は、本当に小学生になっていてよかったと思ってます」

「すでに分かっていて覚悟していたと思うんですけど、たしかに残酷ですよね」

「これからも、色々ありますからねぇ」

 

本多は【あれっ】と思った。

「娘?息子たち?この人まさか...」

 

女性は話をつづけた。

「結婚して22年になりますが、農家に嫁いだもんだから、あんまり家族で旅行とか行ったことがなくて、家も近いから子供を連れて実家に里帰りなんて雰囲気もなくてね」

「いつも働いてる姿しか思い出せなくて、なんだかそれも残念です」

「子供達も、さぞかしつまらなかったと思うんですよね」

 

本多は言った。

「そんなことはないと思いますよ?」

「農家さんなら、遠くへは行きにくいでしょうけど、手が空いたときに学校行事とかは結構出て下さったんじゃないですか?」

 

女性は答えた。

「うん、それはそうね」

「結構出てたわね」

「運動会とか、リレーにも出てたもの」

「そういえば、上の子が小学校のころ役員もやってたわね」

「あいさつを途中で忘れちゃって壇上で真っ赤になったことがあったの...」

 

女性は屈託のない笑顔で話し始めた。

忘れていただけで、少なくとも22年分の思い出がある。

 

「いっぱい思い出せたわ」

「あなたスゴイわね、他にない?」

女性(奥さん確定)は笑いながら言った。

 

本多は故人の奥さんとわかり、笑顔に困惑したが続けた。

「お料理なんかもされたんじゃないですか?」

「お子さんと何かを作ったりとか」

 

「そうそう、結構家事はやってくれたわね」

「そういえば、おもしろい話があってね」

 

バックミラー越しに写る奥さんは、いたずらっ子のような顔で話始めた。

 

今日のお話はここまでです。

このお話は明日に続きます。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

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