独り言の多い連続小説ドライバー? 第二章「とある屋敷のフスマノムコウ」第三話「サードパーティー」
こんにちは、チャバティ64です。
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BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
どうかたまに覗いてやって下さい。
よろしくお願いします。
本日も連続小説ドライバーシリーズ第二章をお届けいたします。
あまりの惨状に、一度は諦めかけた本多。
やっと、作業を開始したのだが....
それでは、お楽しみ下さい。
(天空の城です、あの世ではありません)
独り言の多い連続小説ドライバー?
第二章「とある屋敷のフスマノムコウ」
第三話「サードパーティー」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「すいません、みなさん靴を履いたままのようですが...」
迷わず本多は呼び水を放った。
「あ~どうぞ、靴のままで上がってください」
「警察は直接、窓から入ったくらいですから…」
「ゴミがあるし、何か危ないものでも踏んではいけませんから」
ハバさんは言った。
【危ないもの?大丈夫か!この家は?】
しかし普段から片付けが、どうこう言うレベルではない。
失礼ながら「何かあってから慌てて片付ける」のも、いかがなものか?
本多は強く思った。
それと同時に、子供たちがどんなに散らかしても、いつも家をきれいにしてくれている妻に感謝した。
(本多の妻 歌葡 かほ 31才)
(長男 一羽飛 いわと 6歳 ・ 長女 詩美 うた 3歳)
本多は意を決して家に上がった。
もちろん靴のままなど、初めてのことである。
なにか変な緊張感があった。
足元を見ると「食べかけの酢豚」や「ひと口かじったおにぎり」など、踏むとへこみそうな地雷も散乱している。
「折れた割り箸」など確かに危険物もある。
これらを靴下越しといえども踏んだらと思うとゾッとする。
「靴を履いていてよかった」が「革靴で登山するようなもの」だとも思った。
荒れ地を進むべく廊下を横切り、まずは、フスマの前のゴミを押しのけ、片方だけだが、人の入れるすき間を作った。
【さぁ、開けるぞ】
本多は心の中で勢いをつけた。
【うわっ、やっぱり!】
残念ながら予想通りだった。
廊下の倍の高さに達するゴミ山がそこにあった。
フスマを開けた正面に奥のフスマが見えた。
「あそこだな」本多はつぶやいた。
電気もついていないため、暗いが見えないことは無い。
ハバさんが言った。
「あの奥のフスマを開けた部屋にいます」
言われなくても、それは気付いていた。
【電気ぐらいつけておいてくれればいいのに】
本多は少しがっかりしていた。
蛍光灯のヒモ(スイッチ)が、ちょうどゴミ山の頂上付近にある。
仕方がないので、廊下の灯りを頼りに進んだ。
踏み固められているらしくゴミは不思議と沈まない。
段々、天井が近づいてきて、背が高くなったような不思議な気分だ。
山頂付近では、かがまないといけない程だった。
とりあえず電気を付けた。
ものの見事にゴミ山が形成されていた。
慣れてきたせいか、上から見ると配色によってはキレイかもしれない。
製作者の意図はくめないが、やはり臭いを感じないのが救いだった。
もちろん名残惜しいわけもなく、すぐに下山し、フスマ前に立った。
フスマ前はゴミが片付けられており、警察が検視に入ったことを物語った。
「これならとなりの部屋は大丈夫かな?」
本多は警察が片付けていることを願い開けた。
【うわっ、なんだ?】
心の中で叫んだ!
そこに広がる光景は目を疑うものだった。
向かいの白い壁、下半分くらいに赤い色で手形を引きずったような跡がある。
【あれはどう見ても血だなぁ】
【亡くなる前に苦しんだに違いない】
【気の毒に....】
本多は手を合わせ一礼した。
「これなら手もあやしいな?」
本多は冷静にあらゆることを想定していた。
そして、ご遺体は布団に寝かされているわけでなく、ゴミだらけの部屋の一角を開け、畳の上に寝かせ、上から毛布を掛けてあるだけだった。
苦しみを物語るように両腕を上げ、うつぶせになっていた。
当然のことながら、検視後なので全裸である。
【なんて日なんだ!】
本多は天井を見上げ心の中でつぶやいた。
まずは「スムス手袋 ※」を外し、上着のポケットから手術用の薄いゴム手袋を出し、両手にはめた。
そして、その上からスムス手袋をはめなおした。
これで万が一、体液に触れても感染症などは防げる。
(※ スムス手袋 白い薄手の綿手袋 ドライバーさんや葬儀社さん御用達)
「さて、何から手を付けたらいいだろう?」
今度は本当につぶやいた。
すると突然!
「あんた!なにやってんの!」
ハバさんが山の向こうで大声で叫んだ。
それと同時に何か棒のようなもので何かを叩いているように見えた。
フスマが半分しか空いていないからよく見えない。
「どうしたんですか!?」
本多は大きな声で聞いた。
「やめて、やめて、助けて~!」
女の人の声が聞えた。
「おかあさーん、やめて~!」
子供たちの声も聞こえた。
何をやってるかわからないが、本多はゴミ山を駆け上がった。
今日のお話はここまでです。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。