目がかすむ連続小説ドライバー? 第一章「昨日の夜」第一話「ドライバー?」
こんにちは、チャバティ64です。
今日も寒くなりました。
みなさんご自愛くださいね。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
何卒よろしくお願いします。
今日から、連続小説ドライバー?の第一章リターンズをお送りします。
短編のつもりですが、そこそこ字数があり全6話です。
実は、年配のバイク乗りなら「クスッ」と笑える仕様になっています。
それでは、お付き合いください。
目がかすむ連続小説 ドライバー?第一章「昨日の夜」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く、
・・・「DRIVER」
《イントロダクション》
職業?
あんまり言わないけど、しいて言えばドライバーかなぁ?
イメージとしてはトラックじゃなくて、タクシードライバーに近いね。
お客様は、年配の方が中心で、みんな無口なのが共通点。
それでもたまぁに、ベラベラしゃべる人がいるんだけど気を使っちゃって苦手だなぁ。
ガツガツ行ける仕事じゃないし「まいど!」とか「ありがとう」とも言えないし。
車は、もちろんお客様を乗せるから深緑色の営業ナンバーだよ。
うちはミニバンだけど、よそはステーションワゴンもあるね。
基本的には3~4人乗りで、中には5人乗れるものもあったと思ったなぁ。
窓は真っ黒なフィルムが張られているから車内はちょっと暗いね。
結構な改造車だから買うと高いらしいよ。
えっ?趣味?
趣味って言えるかどうかわからないけど、筋トレかなぁ?
職業病だね。
フリーウエイト中心、とくに「デッドリフトとベンチプレス」が好きかな。
あと、タバコが好きだね。
一日2箱は吸うよ。
今時だけど喫煙率高いよ~うちの従業員は。
酒?
酒はやらない、一滴もやらない。
仕事になんないからね。
それでも接待なんかもあるから、酒の付き合いは大切にしてるよ。
今は「ノンアルコールで乾杯!」が、雰囲気的にいいのかな。
そうとはいえ、趣味らしい趣味はいまいち思いつかないなぁ... 。
あぁ、あと、通勤はバイクだよ、社員みんな。
渋滞で遅刻なんて洒落にならないからね。
いつも心掛けてること?
そうだね、いつ何時も身だしなみには人一倍気を使ってるよ。
寝ぐせや無精ひげなんかは、絶対に無いね。
爪、口臭なんかも、みんなで言い合ってるよ。
もちろん言葉使いも、やさしく丁寧を心掛けてる。
お辞儀(立礼)に至っては直角だよ。
それだけじゃないけどね。
仕事は100%で当たり前、99%ならクレーム。
常にお客様に採点されてると思って気は抜けない。
抜こうとも思わないけどね(笑)
知られてる仕事じゃないけど、やりがいはある。
拍手もガッツポーズもないけど、みんな頑張ってるよ。
《本編》
2月も終わり頃、外は晴れ、三日月のキレイな夜。
赤い大きなテールランプを光らせ、4台入る車庫の一番事務所側に、一台の車がバックでゆっくりと入ってきた。
事務所の窓から見えるその車は、昨日も念入りに洗車したことを伝えるかのように、車庫の灯りに照らされて、黒塗りがまぶしく光り輝いていた。
「ギィッ」サイドブレーキのかかる音がした。
「ガチャッ」車のドアが開き「ダムン」と、勢いよく閉まる音がした。
「ただいま戻りました~」
そう言いながら「本多」が事務所に入ってきた。
(本多 金翼 ほんだ つばさ 37歳 男 妻あり 子供2人)
車庫の勝手口から、一直線に事務員の「山葉」を目指し、業務終了の伝票を手渡した。
(山葉 有舌都 やまは あずみ 51歳 女 夫あり)
「お疲れ様、寒かったでしょう、変わったことはなかった?」
手渡された伝票を見ながら山葉が言った。
「いやぁ、湯灌屋の丸正さんが先についてて、手伝ってくれたから助かりました」
本多は机で業務報告を書きながら笑顔で答えた。
その言葉に向かいの机にいた後輩の「川崎」が、にやけながら言った。
(川崎 是通 かわさき ゆきみち 30才 男 妻あり 子供一人)
「本多さん古いなぁ、今は納棺師って言うんすよ」
それを聞いた本多は、少しまじめな顔で答えた。
「そうなのか、格式が上がったみたいだなぁ」
夜なのに窓際の観葉植物に水をやっていた「鈴木」が続けて言った。
(鈴木 治恵須 すずき はるとし 51歳 男 子供一人)
「納棺師って言えば、この前やった『おくりびと』って映画はよかったよなぁ」
「最後のシーンで使った布張り棺(表面に布が張り付けてあるきれいな棺)が、ちょっとしたブームになっててさ、火葬場でしょっちゅう見かけたもんな」
「あれ結構高いのなんだよな~」
山葉が笑いながら言った。
「よかったってそっち?売上?」
続けて鈴木が言った。
「それからさぁ、求人かけなくてもジャンジャン面接に人が来るらしいな」
「前は求人どころか、なんの仕事かもわかんなかったのによぅ」
それを聞いて山葉が言った。
「葬儀屋さんを辞めた人のスカウトが、ほとんどだったわよねぇ」
本多も笑いながら言った。
「スカウトっていうか、説得? ハハハッ」
鈴木がしみじみと窓の月を見ながら言った。
「俺達の方がよっぽど『おくりびと』なのになぁ」
それを横目で見ながら本多が言った。
「ところで鈴木さん?」
今日のお話はここまでです。
あなたの日々がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。