連続小説ドライバー32 第三章「無題 ある絵描きの死」最終話
こんにちは、チャバティ64です。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
本日で連続小説が終了します。
お付き合いいただきましてありがとうございました。
社長の話は本当か?
鈴木の過去。
そして、数奇な運命の物語。
さあ、最終話です。
(バンビーノ、待たせたね!)
連続小説ドライバー3 「無題(ある絵描きの死)」
昔話は本当の話の連続小説 最終話
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「え~っ!?」
本多の声が車庫中に響いた。
「部長、ちなみに鈴木さんって、なんでうちにいるのかご存知ですか?」
本多は疑問をぶつけた。
大東は少し間を置き答えた。
「鈴木さんが25~6歳くらいの時に『修行に出る』と言い出したんです」
「社長は反対したんですが、奥様がお許しになったそうです」
「どうせならと、当時、TSには、霊柩車がなかったので御社に行ったみたいですよ」
「最初は『すぐに戻ってくるだろう』と、たかをくくっていたようですが、そちらの居心地が良かったんでしょうね」
「すっかり、ライラックの鈴木さんになってしまいました」
「ちなみにこれは、うちの従業員も知りませんから内緒でお願いしますね」
大東は続けた。
「当時、私もハタチを回ったくらいでしたが、鈴木さんが最後の挨拶で言った言葉は今でも忘れられません」
「便宜上、皆の前で退社の挨拶をしたんです」
「もちろん当時は本当に退社すると思っていました」
「そのとき鈴木さんは、こう言ったんです」
「自分の絵を描くために勉強してきます」
「意味はわかりませんでしたが、そう言ったんです」
本多は大東部長の話を聞き、もう何が何やら、わからなくなっていた。
ただ、もうひとつ確認したいことがあった。
「大東部長、もしかしてTSさんに、さくらの絵なんか飾ってありますか?」
大東が答えた。
「よくご存じですね」
「社長室にあるんですが『マサムネ・ヨサノ』の絵だと聞いています」
「私が入社した時にはすでに飾られていました」
「社長と専務の机の後ろにあるので、あまり近くで見たことはありませんが、絵画としては小さいものですね」
「柱につるして飾ってあるので、以前、風か何かで、絵が裏返ってしまっていたことがありました」
「私は、すぐにお伝えしたのですが、専務に『そのままでいいのよ』と言われました」
「それから、たしか鈴木さんが額から出して、両面コピーしてましたね」
「その時も、普通に素手でさわっていましたから『手袋しなくて大丈夫ですか?』と、聞いたら『えっ、どうして?』と言われたのを覚えています」
「ほら、ほんの先日ニュースで不運の画家マサムネが暮らしてたと言われている、木造アパートの取り壊しの時に『名前のない絵のデッサン』が見つかって、鑑定したら本物だったってあったじゃないですか」
「ニュースで印象的だったのは『信じていたことが正しかったことを証明するためにオークションに出す』と持ち主は言ったそうで、たしか最後は3人で競って、日本円で8億円くらいで落札したと思います」
「うちにあるのは、それほどの画家の作品とは思えない扱いですね」
「本物とは到底思えませんが、わかりません」
「そちらに手土産で持って行ったと思いましたが、ありませんか?」
「え~っ!あります!」
「ホントの話ですか!!?」
「アパートって?」
本多は驚き疲れてしまった。
「すでに、お亡くなりになっているみたいですが、外国の方が、その一室をずっと借りていたそうですよ」
「お家賃を30年分ぐらい先払いされていたそうで、それが終わって取り壊したと言っていました」
「たまにどなたかが掃除に来てたみたいですよ」
大東はニュースの内容を伝えた。
「だいたいわかりました」
「部長、長々と、ありがとうございました」
「電話があったことは、みんなに内緒でお願いします」
「変な人ですねぇ本多さん、わかりましたよ」
「でも今の話、御社の社長さんは、全部知っていますよ」
「それじゃまた、いつでも待ってますよ」
大東は、笑いながらそう言うと電話を切った。
「ガチャ」
車庫の扉が開く音がした。
本多が振り向くと、鈴木が慌てて入って来た。
「騒がしいな、本多」
「仕事が入った!出るからな」
「あっ、行ってらっしゃい」
「さっきのデッサン画、素敵でしたね」
本多はにやけてしまった。
「なんだ、嬉しそうだな」
「いい絵だろ、毎日見てやってくれよ」
「それはそうと、なんかいいことでもあったのか?」
鈴木が言った。
「はい、ありました」
「そうか、そりゃあ良かったな、気を付けて帰れよ」
「はい、ありがとうございます」
「鈴木さんも、お気をつけて」
「おぅ、ありがとよ!」
鈴木が手を振って車に乗り込んだ。
本多は、見送りながら思った。
「やっぱりみんなに、かつがれている」
べらんめえ調なフランス人のハーフで、TSの御曹司。
そして悲運の画家「マサムネ・ヨサノ」の一人息子。
絶対にない!
おわり
いかがでしたか。
ドライバー第三章「無題 ある絵描きの死」
お楽しみいただけましたでしょうか?
今回の小説は、頭の中で出演者たちが「そうじゃない、こうなんだ」と語りかけてきて大変苦労しました。
(幻覚じゃないです、イメージです 笑)
点と線がつながらない、点が置けないなど多々あり未熟さを感じました。
疑問がありましたら疑問のままでお願いします。
ちなみに物語に出てくる通貨ですが、フラン(フランスフラン)は、すでに廃止になりユーロに変わっています。
大雑把に説明します。
1500フラン=30,000円くらい
(ミュンヒルが初めてさくらの絵を買った値段)
3000フラン=60,000円くらい
(安定してきたころの買い取り額)
500万フラン=1億円くらい
(10年後の市場価格)
800万ユーロ=10億円くらい
(現在の価格)
と、なります。
架空のものですが、物語には重要なファクターでしたのでご説明しました。
モデルは特にいませんが、初めにお伝えした通り、ボクの大好きなamazarashiの「無題」という歌をオマージュしたものです。
いつか、秋田さん、豊田さんに褒めてもらえたらいいなぁ。
誰か伝えてくれないかなぁ。
誰か漫画にしてくれないかなぁ。
もっと伝わるのになぁ。
ボクに才能があったらなぁ。
明日からはシリーズ3作を通したものを掲載予定です。
お楽しみに
今日のお話はここまでです。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。