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〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

連続小説ドライバー26 第三章「無題 ある絵描きの死」第八話

こんにちは、チャバティ64です。

仕事はお茶の販売をしています。

BASEの「お茶の葉園」(あいばえん)

というショップを趣味で運営しています。

 

よろしくお願いします。

今日も連続小説ドライバーをお送りします。

ロンシャンの口からまさかの「バンビーノ」の名が!?

秘密がすべて明らかになる時が来ました。

お茶でも飲みながらごゆっくりお楽しみ下さい。

 

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(春の風に舞うのは、花か、こころか?)

 

連続小説ドライバー3 「無題(ある絵描きの死)」

昔話は本当の話の連続小説 第八話

 

(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)

 

行く道は涙に濡れ、

行く道は嘆きにあふれ、

行く道は悲しみの数だけ続く

・・・「DRIVER」

 

《本編》

 

「この青いスカートの少女はバンビーノかい?」

 

「えっ!?」

彼は驚いた。

「ロンシャンさん、どうしてその名前を...」

 

ロンシャンは言った。

「彼女から聞かされていたからさ」

「ボクにさくらの絵を飾ってほしいと持ってきた看護師」

「それがバンビーノだよ」

 

「だって、ロンシャンさん、持ってきたのは『顔色の黒いやせた金髪の妊婦』と言っていましたよね」

彼は言った。

 

「そうともマサムネ、彼女はその通りだったよ」

 

「うそです、彼女は色が白くふくよかで...」

彼がそう言うと、ロンシャンは顔を振りながら言った。

 

「彼女は持病があったんだよ」

「肝臓が悪くて、あまり昼間は外に出なかったはずだ」

「クスリの作用で日光に当たると肌が黒くなってしまうんだよ」

 

「キミともすれ違いが多かったんじゃないか?」

「彼女は暗いうちに出かけ、暗くなってから帰ってくるのが日課だったそうだ」

「もちろん看護師だから夜の当直もあるしね」

 

彼は、そう言われると心当たりがあった。

また、置き手紙が多かった意味がわかった気がした。

 

「キミは絵に夢中で気付かなかったんだよ」

「とても大切なこともね...」

 

「彼女に、キミとの子が、お腹にいたことも」

 

「えっ!?そんな」

彼は声にならないほど驚いた。

 

ロンシャンは続けた。

「つわりがひどく痩せてしまった彼女は、少しでもお腹の赤ちゃんのためにと、白い肌を犠牲にして日光を浴びたんだよ」

「その結果が黒くなった顔色なんだ」

 

「その後、無事に出産して体調もよくなっていたが、去年亡くなってしまったんだ」

「持病が悪化してしまってね」

 

「本当に...残念だよ...」

 

ロンシャンは目を閉じ、少し沈黙した。

そして、涙がこぼれないよう天井を見上げ、声を絞り出した。

 

「太陽みたいに明るい子だった...」

 

ロンシャンのそばに立っている従業員も、うつむき肩を震わせ、うなずいていた。

 

「だからボクは、四方に手を尽くし、キミのことを探した」

「そして見つけたんだ」

「あのさくらの絵と同じ絵を描く君を、あの公園で」

「キミの名前を聞いたときは本当にうれしかったよ」

 

マサムネは頭を抱え、無言でテーブルにうずくまっていた。

 

ロンシャンは静かに続けた。 

「彼女は、看護師のハードワークをあきらめ出産を選んだ」

「親が出産を認めてくれるはずもないと、悩んでいたんだ」

「だからボクは、彼女が自立できるように、キミとの思い出の場所でもあるボクの店で働いてもらっていたんだよ」

「ボクの店は、日が沈む夕方からの開店だからね」

 

「毎日出勤してくると、真っ先にさくらの絵を見て、嬉しそうに微笑んでいたよ」

「それからね、彼女は青いスカートをとても大切にしていて、いつも身につけていた」

「ボクの店は全員、白いドレスシャツに黒い衣装の組み合わせなんだが、彼女がチーフになった時、特別に青いスカートを仕立てたんだ」

 

「あまりにも似合っていたからね」

 

「彼女は、もともと看護師だからなのかわからないが、お客様の気持ちを先読みする素晴らしい接客をしてくれた」 

「それからは、フランスの店で『青いスカートを身につけた接客のカリスマ』として有名になり『料理じゃなく接客』で、ロンシャンの名を上げてくれたんだ」

 

「ボクの店で勤務する子たちは、全員フランスで研修をするんだ」

「この子たちの仕事は、バンビーノが教えたものが多いんだ」

 

「だから、ここにいるみんなは、キミの絵の中の少女がバンビーナだと、ひとめでわかった」

「絵の中に生まれ変わったバンビーナを見て、誰ともなく拍手が起き、涙があふれたんだ」

 

「ボクが彼女に対して知っていることは、これがすべてだよ」

 

「それからね…」

ひと呼吸置き、ロンシャンは目を閉じ言った。

 

「ボクはキミにウソをついた」

 

 今日のお話はここまでです。

このお話は明日に続きます。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。

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