連続小説ドライバー24 第三章「無題 ある絵描きの死」第六話
こんにちは、チャバティ64です。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
今日も連続小説ドライバー?第三章 第六話をお届けします。
料理界の重鎮に見初められた絵描きはどうするのか?
お楽しみ下さい。
(変わった色の車にさくらが映えます)
連続小説ドライバー3 「無題(ある画家の死)」
昔話は本当の話の連続小説 第六話
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙に濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「わかりました、待ってます」
絵描きは「ロンシャン」に誉めてもらえたことが嬉しかった。
お店に飾ってある「さくらの絵」も見てみたいと思った。
それから、3日程で仕上がる予定だったが、彼は数日間、体調がすぐれず「さくらの絵」が完成したのは2週間後だった。
何となくだが、絵に「名前」を入れた。
名前を入れるのは、これが二回目だ。
「masamune.yosano」と、控えめに入れた。
すると、不思議と涙が出てきたのだ。
「なぜだろう」
彼は絵を見ながら、しばらく泣き続けた。
「ロンシャンさん、何度か来てくれたのかな?」
彼は心のなかで「申し訳ない気持ち」と「心変わりしたんじゃないか」という気持ちをぶつけあっていた。
最終的に、「約束だから、店に絵を届けよう」と思った。
押し売りみたいでイヤだが「断られたら持って帰ればいい」と開き直った。
実は「絵描き」として、飾ってある「さくらの絵」が見たいだけなのかも知れない。
とにかく、今日は体調がいいから「届けるなら今日しかない」と思った。
久しぶりに電車に乗った。
二駅過ぎたところにお店があり、お昼過ぎには着いた。
ずいぶんと人通りの少ない静かなところで拍子抜けした。
「そういえばロンシャンさんは、なぜあんなところを歩いていたのだろう?」
彼は、いまさらだが不思議に思えた。
夕暮れ時から始まる、そのお店「ロンシャン」は、まだ閉まっていた。
彼は、誰か来ないか玄関の近くで待っていた。
「ゴホッ、ゴホ」
少しセキが出始めた。
「ゴホッ、早く誰かこないかなぁ?」
しばらく待っていると、女性が近付いてきた。
彼は、すかさず言った。
「すいません、ロンシャンの方ですか?」
女性は、大きな包みを持つ、髭面、長髪を後ろに束ねた中年男に少し驚いたようだった。
「そうですが.... 開店までは、まだお時間がございますが?」
「ご予約のお客様でございますか?」
彼は言った。
「ちがうよ、客じゃない」
「見てもらいたい絵があるんだ」
「ロンシャンさんを呼んでくれないか?」
女性が言った。
「『絵』ですか?」
「あいにくですが、ロンシャンは引退してから、店に出て接客することもありません」
「ましてや、絵の売り込みに立ち会うとは思えません」
「申し訳ありませんが、お引き取り下さい」
そうは言ったが女性は、彼がなぜ、ロンシャンが日本に来ていることを知っているのか不思議に思った。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。