連続小説 ドライバー4「昨日の夜」第四話
こんにちは、チャバティ64です。
仕事はお茶の販売をしています。
BASEの「お茶の愛葉園」(あいばえん)
というショップを趣味で運営しています。
よろしくお願いします。
今日は同学年「吉田美和さん」の「バイバイ」からスタートです。
今も昔も一番好きな女性アーティストです、歌姫とは彼女のためにある言葉ではないでしょうか。ドリカム大好きですが、一番はソロでの「バイバイ」です。
中村さんには申し訳ないですが、ドラムが本当に切なくて大好きです。
皆さんもぜひ聞いてみてください。
ハンカチは忘れずに...。
さて、連続小説「ドライバー?」第四話です。
ぜひ、お茶でも飲みながらお楽しみ下さい。
(マジでビックリしました!!)
目がかすむ連続小説 第四話
ドライバー?「昨日の夜」
(この物語はフィクションです、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません)
行く道は涙で濡れ、
行く道は嘆きにあふれ、
行く道は悲しみの数だけ続く
・・・「DRIVER」
《本編》
「ライラック特殊搬送です。ヨシハラヒデキ様のお迎えに上がりました」
二人で深々とお辞儀し、ご遺族、看護師さんに挨拶を終えると故人を病室のベッドからストレッチャーのタンカに手際よく移動した。
やはり背が高く、若いからかすごく重い、川崎は「本多さんがいてくれて助かった」と思っていた。
小さな布団に寝かせ、顔あて(白い布)をしてからグリーンの綿布で包み込んだ。
準備が整い本多が言った。
「それでは、お車の方にお連れしますが、どちら様か一緒にお乗りになられますか?」
奥様らしき方が言った。
「一緒に乗っていかないとダメですか?」
それに答えるように本多は返した。
「ダメということはありません」
「お乗りにならなくても結構ですが、ご自宅までの道順もありますのでお車でお越しでしたら、お手数ですが先導していただけると大変助かります」
その時だった。
「ボク、一緒に乗ってくよ」
高校の制服を着たご子息らしき青年が言った。
「このブレザーはたしか県下で一番の進学校だ」
本多は思った。
「頼んでいいのね宗一、弁二が待ってるから」
「先に帰ってお父さんのお布団ひいてるわね」
奥様(確定)が言った。
「いいよ、お父さんと一緒に帰るから」
「ボクが道案内するから心配しないでいいよ」
ご子息(確定 以下、宗一君)が言った。
「では私は車ですので、よろしくお願いします」
会釈しながら奥様は廊下を走って行った。
「たいしたもんだ、気丈で立派な子だなぁ」
やりとりを聞いていた本多は、とても感心すると共に、素晴らしい子育てをしたお父様も『さぞ心残りだろう』と思った。
看護師さんを先頭に少々暗い廊下を進み、車の止めてある裏口から出て、故人を乗せたストレッチャーを車両に格納した。
車両後部にはすでに、お見送りの医師と看護師が数名到着し見守っていた。
バックドアを静かに閉め、一歩下がり本多は川崎と横並びで車の中にいる故人に向かって深々と頭を下げた。
それから一瞬だけ間をおいて、くるりと180度振り返り本多は言った。
「これよりヨシハラ様をご自宅までゆっくりご丁重にお送りいたします」
看護師の方に視線を向けながら「お手伝いいただきありがとうございました」
次に医師に目を向け「それでは失礼いたします」
そう告げると二人そろって深々とお辞儀をした。
車両に乗り込み川崎は言った
「ヨシハラ様、シートベルトをお願いいたします」
後部座席のシートベルトが着用出来るまでは出発出来ません。
宗一君はあわててシートベルトを締めた。
「それでは、32,455km・10時15分ヨシハラ様のご自宅に向け出発いたします」
「よろしくお願いします」宗一君が言った。
道中では道順以外に声をかけることはほぼ無い。
昼間でお年寄りなら思い出の場所を巡りながら家に帰ることもたまにあるが、故人は若く、宗一君も気丈に見えるが内心はつらいだろうと本多は思った。
「これからどうするんですか?」
突然、宗一君が言った。
川崎は運転中なので本多が後ろを振り返り暗いながらも目を見て説明した。
「これから、お父様をご自宅にお連れして玄関からお帰りになっていただきます」
「お疲れですので、いつも寝ていらっしゃたお布団でお休みしていただきます」
「そのあと少々、処置をして枕もとにお経をあげるためのお飾りをします」
「それが出来ましたらお寺様に連絡して『枕経』というお経をあげてもらいます」
「時間が時間ですのでお寺様は明日の連絡になるかもしれません」
「考え方ですが、お父様は早く退院してお家にお帰りになりたかったと思います。本日やっと退院してご自宅でお休みになれるので、皆さまお部屋が別でしたら、お布団を持ってきて一緒にお休みになるとお父様もお喜びになるんではないでしょうか?」
説明に、本多らしいやさしいアドバイスもあった。
ここまで告げたところで自宅に到着した。
山葉が言った通り敷地の広い大きな家だった。
玄関先には奥様ともう一人、宗一君によく似た子が立っていた。
「あの子が弁二君かな?」本多は思った。
今日のお話はここまでです。
このお話は明日に続きます。
あなたの今日がステキな一日でありますように!
チャバティ64でした。