生きてて良かった!- 茶 葉 tea’s -

〇〇〇?そいつに自由はあるのかい?

前さんの話2 -梅雨はどこへ行った?-

 

 こんにちは、チャバティ64です。

 

今日は、昨日のお話の続きです。

 

まるでリアルな「ワイルドスギちゃん」のような前さん。

30年以上も前の話ですけど・・・。

 

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(体温調整に余念がない姿、カワイイ!)

 

さて、さて「お前が言うな!」と、いうツッコミもあった

「寒くないですか?」というボクの発言に対し前さんは

 

「あぁオレ、北海道の旭川の出でな」

「静岡に来て一度も寒いと思ったことはない!」と、軽く微笑みながら言った。

 

世の中、上には上がいる。

 

「すげえ!!」心から思った。

ジャンパーを安く買う店など必要なし!

 

世間の狭い自分は北海道も旭川も知らない。

もっと、もっと、話が聞きたくなった。

 

旭川ってどんなとこなんですか?」

知らないから勝手にすごく田舎を想像した。

(本当はすごい都会です)

 

「うん、冬はすごく寒いな」

やっとこの人から寒いというワードが出た!と、思った。

 

話は続いた

 

「小学校の頃に可愛がっている犬がいて」

「朝になったら犬小屋で凍って死んでた」

 

「そのくらい寒いときもあるぞ」

「それから犬は家の中で飼うようになった」

 

もはや災害レベルの寒さである。

 

ストーブ前にも関わらず、全員が凍った。

 

ボクは、不謹慎にも夏に焼津港で入った「マグロの冷蔵庫」を思い出した。

 

みんなが解凍中のなか、冗談で言った。

「バナナで釘が打てそうですね」

(当時CMでやっていた)

 

前さんは、まじめな顔で答えた。

「サンマでも打てるぞ」

 

きっとそうなんだろうな。

 

すっかり打ち解けた(凍らずにすすんだ)前さんとボク。

調子にのって、ついつい聞いてしまった。

 

「どうして頭を剃ってるんですか?」

周りの人が少し引いた気がした。

 

前さんは両手を胸元に合わせ合掌のポーズをとった。

「やっぱりお坊さんのうちの人なんだ」勝手に思った。

 

次にその合掌を解いたかと思うと目にも止まらぬ動きで

「ズッシィーン」と、地響きと揺れを感じた。

 

「震脚」である。

 

前さんは合掌のポーズで膝が直角になるくらい腰を落としていた。

 

「馬歩站椿」である。

 

これはまさしく、この間ビデオで見た少林寺の修行シーンじゃないか!

まるで、リー・リンチェン(現 ジェット・リー)のようだった。

 

前さんは照れることなく

少林寺拳法をずっとやってて、なんとなく剃った」と、言った。

そうなんだ、なんだか納得できた。

(当時4段の腕前だった)

 

それから、前さんとは合えば必ず話をした。

その年の夏に一緒にツーリングにも行った。

 

やっぱり袖なしGジャンを素肌に来ていた。

素肌(頭皮)にヘルメットも、相変わらずだった。

 

しかし、不思議と前さんには会社で会うことはなかった。

なぜなら、ボクのような油にまみれる現場の工員ではなく、親会社から管理のために派遣された「エリート社員」だったからである。

 

人は見かけによらないものだ (失礼)

 

それからほどなくして、前さんは親会社に戻ることになった。

残念だが、盛大な送別会を河原でやった。

前さんの人柄のせいか、たくさんの人が集まった。

 

あらかじめ、プレゼントに欲しいものを聞いた。

 

「錫杖」が欲しい!

 

地面を突くと「シャン」と鳴る、あの棒である。

持つ人が持てば、何かを退治できそうなアイテムである。

 

ホントのお坊さんになるつもりか?

それより、どこに売ってんだ?

 

ネットのない時代、やっとの思いで探しだし、渡すことができた。

受け取った前さんは、おもむろに地面を「ちからいっぱい」突いた。

 

「シャーン」となる音が前さんの旅立ちを告げた。

 

「これしかないんだよ、着るもんが」

 

ガッハッハー

 

ふと、いまもあの声を思い出す。

 

今日のお話はここまでです。

 

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。